「バスマガジンVol.23」72ページ最下段の記述について



 「バスマガジンVol.23」(07/05/28発行、三推社・講談社)の72ページ最下段に、以下引用の通り、当ウェブサイト管理者の「説」が掲載されております。

|>元々規制緩和の意図は、公共交通の維持を事業者だけに担わせず、自治体が主体的に関与する形に
|>移行させることにあったとする説もある(加藤博和名古屋大学大学院助教授)。

 まず、この文章には引用が明記されておらず、また管理者に直接取材して書かれたものでもありません。

 上記文章からですと、管理者だけ?が主張している説であるというように読みとれます。
 しかしながら2002年の規制緩和(乗合バスの需給調整規制撤廃)の方向付けを行った、平成11年4月9日の運輸政策審議会自動車交通部会答申「乗合バスの活性化と発展を目指して 〜乗合バスの需給調整規制廃止に向けて必要となる環境整備方策等について〜」においては、

「V. 生活交通の確保方策
 1. 生活交通の確保についての基本的方向
 生活交通の確保については、これまでの需給調整規制を背景とした制度的 な内部補助を前提としない新たな仕組みを作ることが必要である。その際、 地方公共団体は地域の生活の足の確保や地域のまちづくりの観点から、国は ナショナルミニマムの観点からそれぞれ責任を有するものであり、全体的な 制度的枠組みの下にそれぞれの立場に基づいて必要な方策を適切に分担・協 調して講じていくこととすること、また、今後、地方分権を推進していくと いう政府の方針に留意しつつ、地方公共団体がより主体的に関与していくこ とが適当である。」

として、事業者の内部補助による路線維持スキームから、地方公共団体の主体的関与への転換を明確に求めています。
(例えば、http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/rikujou/jidosha/bus/03/images/04.pdf を参照)
 ほかにも、旧運輸省や運輸政策審議会、国土交通省による多数の文書から、この意図を読み取ることができます。さらに、規制緩和に合わせて行われた都道府県単位の地域協議会の設置や、地方公共団 体の生活交通確保策への特別地方交付税措置の新設は、これを制度的にサポートするも のと言えます。

 以上のことから、上記記述を単に管理者の「説」とするのは事実に反すると考えております。

※なお、上記コメントについては6/4に編集部宛メールし、7/3にライターの方から「表現が不適切であった」むね返信をいただきました。

※「バスマガジンVol.27」69・72ページに出ている当方のコメントは、取材を受けて書かれたものです。(以上)




インデックスページへ戻る