東海3県の自治体運営路線バス・コミュニティバスの現状

Last Updated: 08/10/01

 このページでは、自治体が運営する路線バス・コミュニティバスについて説明するとともに、東海3県におけるその現状を紹介します。
  ※地方公営企業である名古屋市交通局は扱いません。
  ※スクールバスや大部分の福祉バスのような、利用者を限定したバスサービスは扱いません。


東海3県のコミュニティバス最新情報

東海3県のコミュニティバス・公共施設巡回バス一覧

東海3県の廃止代替路線バス(過疎バス)一覧

 各自治体の公式ホームページの関連ページへのリンクも設けています。

「過疎バス概論」 → 過疎バス・自治体バスの運行方式に関する解説はこちら




自治体運営路線バス・コミュニティバスとは?

 自治体運営路線バス・コミュニティバスにはさまざまな形態がありますが、ここでは、
 1.運行目的
 2.事業形態
の2つの分類法に沿って説明します。


1.運行目的

 a.廃止代替バス(過疎バス)
 過疎地域においては、民間バス事業者では運営が困難であるものの、地域生活のために維持が必要と判断されるバス路線が多く存在しています。 このような過疎バスを自治体が引き受けて運営する場合の特徴として、民営時代の路線・運賃・ダイヤを基本的に踏襲することが多いことが挙げられます。
 廃止代替バス・過疎バスについての詳細は、「過疎バス概論」をご覧ください。

 b.公共施設巡回<循環>バス
 主に交通弱者を対象として、公共施設への利便を確保するために運行されるものです。 その名の通り、公共施設を網羅的に巡回する形態が多く、また、自治体の行政サービスの一環として位置付けられることから、無料・休日運休であることが多いです。

 c.コミュニティバス
 2002年2月に行われた路線バス参入・退出規制の緩和を期に、過疎部のみならず都市部の民営バス路線も縮小を余儀なくされる状況となっています。 その一方で、交通弱者対策や交通渋滞解消、環境問題への対応といった公共交通への回帰を求める論調が大きくなり、また、都心部空洞化対策や観光周遊ルート確保の道具として、 路線バスを見直す動きが生まれています。それに応じて、バス車両にも小型車を中心に様々な種類が登場してきています。
 このような流れの中から出てきた、従来の過疎バスや巡回バスのカテゴリに当てはまらない新しいタイプの自治体運営路線バスが、一般に「コミュニティバス」と呼ばれるものです。 特に、東京都武蔵野市の「ムーバス」の成功に刺激され、都市部の自治体が、従来は路線バスが運行していなかった地区に新たに、無料あるいは低料金で路線バスを運行する試みが急増しています。
 「コミュニティバス」の定義は明確ではありませんが、ここでは以下のように定義します。(もちろんこれは一般的な定義ではございませんのでご了解ください。)
   1. 自治体が運営する(直営または民間事業者への運行委託)
   2. だれでも利用できる(交通弱者や各自治体住民などに利用を限定しない)
   3. 新規路線である(廃止代替であっても、民営時代の路線・運賃・ダイヤから再編成を行っている場合はこれを含む)
 近年では、三重県鈴鹿市のような、廃止代替路線を経路・ダイヤ変更によってコミュニティバス的にリニューアルする試みや、 公共施設巡回型バスでも「コミュニティバス」を名乗るような状況が生じており、廃止代替バス・公共施設巡回バス・コミュニティバスの区別はなくなりつつあります。 そこで当ページでも、従来は過疎バスとコミュニティバスを分けて扱っていたのを、まとめて扱うことに変更いたしました。


2.事業形態

 自治体運営バス・コミュニティバスは大きく「有償運行」「無償運行」に分けられ、有償の場合はさらに、
   「4条バス」:法律上は一般路線バスであるが、自治体が欠損を全額補助して運行する方式
   「21条バス(貸切代替バス)」:自治体が貸切バスを借り切り、それを路線バスとして運行する方式
   「80条バス(自主運行バス)」:自治体が自家用バスを用いて、バス事業を直接運営する方式
の3種類に分けられます。
 特に※21条バスと80条バスの詳しい違いについてお知りになりたい方は、「過疎バス概論」をご覧ください。

 21条バスと80条バスの区別は、以前は容易に可能でした。 21条バスは、見た目は一般の民間事業者の路線バスと区別が付かず(緑ナンバー車)、一方、80条バスは、専用車両(白ナンバー車)を使っていたり、バス停にも「市<町・村>営バス」と書かれていたりする、というように区別することができました。
 ところが最近では、80条バスでも、バスを自治体が購入した後事業者に貸与し、運行も事業者に委託するものや、逆に21条バスで、専用車両や専用バス停を設けたりする例が出てきており、両者の境界はあいまいになりつつあります。 特に最近の有償型コミュニティバスのほとんどは21条形式で運行されています。また、「自主運行バス」と名乗る21条バスも多くなっており、こちらの分類についても(法律的には明確ですが、見た目には)区別が困難になってきています。
 さらに、2002年2月の路線バス参入・退出規制の緩和によって、従来は困難であった一般乗合免許(道路運送法4条)が許可制となった関係もあり、4条免許による(欠損全額を自治体が補助する方式の)コミュニティバスも増加傾向にあります。4条路線はその規定上、(例外規定である)21条や80条路線に比べて優先権を持つことから、既存バス事業者に委託してコミュニティバスを運行する場合を中心に、適用事例が出てきています。

 2006年10月の改正道路運送法施行によって、「21条バスの制度は廃止<臨時的運行を除く>」「80条バスは79条に移行し、許可制から登録制へ変更」「地域公共交通会議制度」など、コミュニティバスをめぐる状況が大きく変化しました。
 これについての詳しい解説は、「過疎バス概論」をご覧ください。



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