中日新聞2011年1月26日朝刊27面(社会面)の記事について


 中日新聞2011年1月26日付朝刊27面の記事は、福祉有償運送制度の問題点について、名古屋市内で福祉有償運送を実施するNPO法人(のみ?)への取材をもとにまとめたものですが、記事の中に事実と異なる点がありますので、ここで指摘させていただきます。
管理者(加藤博和)は2010年度の名古屋市福祉有償運送運営協議会の会長を務めており、一連の協議の司会を担当いたしました。また、この記事に関して管理者及び運営協議会事務局(名古屋市役所)は取材を一切申し込まれておりません。

○「自治体やタクシー業界が協議会をつくり、NPOが料金を改定するとき、協議会と料金を調整することが義務づけられた。まるでタクシー業界を保護するような制度に」
 →福祉有償運送運営協議会は、自治体が主宰するものと法律で規定されており、「自治体やタクシー業界が協議会をつくり」との記述は誤りです。また、実際に運送を行っているNPO法人も委員として参画しており、自治体とタクシー業界が一方的に運営しているものではありません。ましてや「まるでタクシー業界を保護するような制度」では全くありません。名古屋市福祉有償運送運営協議会ではいつも、タクシー業界の委員にもNPO法人の委員にも闊達にご発言いただいております。なお、全国的には「まるでNPOを保護するような制度」と嘆いているタクシー業界の方もたくさんおられます。

○「1キロ当たり30円値上げするだけでも、協議会から赤字の理由を詳しく説明するよう要求され、書類を2回提出し直し、審査が通るのに1年もかかった。」
 →正確には以下の通りです。
「2キロ当たり300円から414円に114円値上げすることを申請した際、協議会が赤字の理由を詳しく説明することを要求したため、書類を1回提出し直し、1カ月後に臨時で(この協議のためだけに)開かれた協議会で、値上げを60円に圧縮することで合意した。」
 114円を60円に圧縮していただいたのは、値上げ額が38%と大幅であることに懸念があったためで、障がい者団体等からも意見が出ました。結果合意した「1キロ当たり30円(2キロ当たり60円)」という額は大したものではないように思えるかもしれませんが、これでも20%の値上げに当たります。
 提出し直していただいた書類は、「もうけているわけではないのに」という記述が記事にありますが、それを証明していただくためのものです。なお、NPO側は、値上げに関して利用者に意見を聞いているかとの会議での問いに「聞いていないが、上げても払っていただけるはず」と回答されました。タクシーを値上げしようとすればこういう回答では通らないでしょうし、今回出していただいた2枚程度の書類ではとうてい認められません。簡易的な手続きで値上げを認めたと考えております。

 名古屋市福祉有償運送運営協議会での議論や、有償運送運営協議会の考え方については、東京交通新聞2010年10月11日付「視点」(管理者の寄稿)をご覧いただけると分かりやすいと思います。
 また、国土交通省では、有償運送運営協議会のあり方についての再検討を行うべく「運営協議会における合意形成のあり方検討会」を2011年1月につくりました。管理者も僭越ながら委員となりましたので、できる限りこの制度が、移動制約者の皆様の移動を最大限確保できることを支援する場となるようなしくみに発展していくよう微力ながら尽力しているところであることを付け加えさせていただきます。(以上)



(12/04/05追加)
 2012年2月23日の「平成23年度第2回名古屋市福祉有償運送運営協議会」におきまして、当該NPO法人より、2キロ当たり360円から400円へ値上げしたい旨の申請があり、理由書および口頭説明に基づいて協議した結果、12年4月1日からの1年間について認めましたので、ご報告申し上げます。(当該NPOのHPにそのことが書かれていないのが変な気がしますが・・・)



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First Released : 2011/03/04
Last Updated : 2012/04/05