「スクール」路線バスの実態

Last Updated : 01/03/25


 路線バスの中には、実質的に学生・生徒・児童の通学にしか利用されない「スクール」路線バスとでも呼ぶべきものが存在します。
 「そんなの、いくらでもあるではないか。どこがマイナーなのか?」と思われる方も多いかもしれません。 確かに、大学・高校で専用スクールバスを持たない場合には、一般に最寄りの駅から直通する路線バスが存在し、その多くは、事実上の通学専用バスになっています。 このような路線は、他の路線に比べて収支も安定し、特に大学輸送は1日中通して需要があることから、路線バス経営の大きな支えとなっているのが普通です。

 しかし一方で、過疎地域を中心に、「主に小・中学生の通学を対象とする路線」も多く存在しており、中にはそれのみにターゲットを絞ったダイヤ設定になっているものさえあります。
 このような「スクール」路線バスには、以下の2種類があります。

   1.元々は一般客向けの路線であったのが、
     過疎化・モータリゼーションによって利用されなくなり、
     いつしか、登下校生以外に利用者がないという状況になったもの
   2.学校の統廃合によって新たに設けられたもの

 1.の場合には、バス事業者の「安定収入確保」「路線免許維持」の考え方と、自治体の「新規スクールバス運行の面倒さ」という、両者の利害が一致するものの、一般乗合路線のままであると、文部省からの「スクールバス補助」が出ないため、運営がやや困難であるという問題があります。 規制緩和時代を迎え、このタイプの路線は減りつつあります。

 一方、2.は、学校統廃合にあたって、地元の反対を和らげるために、専用のスクールバスの運行にとどまらず、それを昼間にも走らせて、乗合路線とする方法です。 この場合、21条バスや80条バスといった「自治体運営バス」の形態をとります。自治体運営バスは一般乗合バスではないため、スクールバス補助を受けられる場合もあります。

 過疎地域での自治体運営バスは、一般に民営バス路線の廃止代替として運行開始される場合が多いですが、学校統廃合があると、今まで需要や道路幅の関係で路線バスと無縁であった地域にも路線が設定されたり、 スクールバスから移行したり(スクールバス混乗)して、路線数が増加したり複雑化したりする例が多くあります。 特に山間部では、自転車通学が困難なことと、高齢化が進んでいることから、「学校が廃校になる=自治体運営バスが増える」という図式がほぼ成立します。

 スクール路線バスの時刻表は、「○○学校スクール便  ○○学校登校日のみ運転」となっているのが普通です。極端な場合、「○○学校前発着」となっている場合もあります。

 「一般乗合路線なのに、一般客がほとんど乗らない」という超マイナー路線の存在。路線バスの「乗りつぶし」もハンパではできません。


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