「路線バスリサーチ」


 このコーナーは、「東海3県の路線バス情報のページ」管理者が注目するバス路線を取り上げ、解説・批評するとともに、今後の見通し・改善方法や、他のバス路線への示唆を与えることを目的とするという大それた試みです。


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第1回 「本宿循環」にかいま見る、名鉄バスの新たな挑戦(01/01/16公開)

第2回 「巨大アウトレットモール」に、路線バスはいかに対応すべきか?(01/02/05公開)

第3回 「定時性」か「直行性」か? 究極の選択を迫る岐阜市内バス再編(01/05/11公開、02/12/24追加記事掲載05/08/20追加記事掲載

第4回 市町村は「路線バス」にどう関わればよいか? その課題を愛知県東浦町に見る(01/08/17公開、02/11/05追加記事掲載

第5回 「鉄道廃止」は地域公共交通再編のチャンスとなるか? 八百津線代替バス「YAOバス」に秘められた可能性(01/11/01公開)

第6回 「利用者は予想の半分」 名古屋ガイドウェイバスは本当に失敗だったのか?(02/10/24公開)

第7回 「さくら道」に見る過疎路線の今後 JR名金線代替バス乗り継ぎ旅(03/01/14公開)

第8回 Coming soon!



番外編 江南市コミュニティ・タクシーに乗車して −果たして「いいことづくめの公共交通機関」になれるのか?−(02/01/07公開、03/07/23追加記事掲載)


☆本コーナーの趣旨

 路線バスの凋落が叫ばれて久しい。特にこのところ、既存事業者のバス路線廃止自治体バスの運行開始といったニュースが目に付くようになっている。更に2002年2月からは、路線バス事業の規制緩和が実施されたこともあって、さらなる路線整理や自治体移管が行われることが確実である。

 では、路線バスとは「過去の交通機関」なのであろうか?

 私は必ずしもそうとは考えていない。
 なぜなら、今までの路線バス「事業」が時代の流れにほとんど対応してこなかったという認識を持っているからである。
路線バスのシステムは、専用の軌道を必要とする鉄道や新交通システムなどに比べれば、自由度が圧倒的に高く、それゆえにさまざまな工夫によって時代に対応することができる可能性を持っているはずなのである。しかし、コンビニの商品が数週間単位で入れ替わるような時代に、路線バスは十年一日のごとく同じルートを、しかも走行環境悪化によるサービス低下に有効な策を打つこともできず走り続けているのである。このような「怠慢」は、一般のサービス業や製造業では考えられない。
 これが許された理由を一言で言えば、路線バス事業が大手民鉄のグループ経営や、許認可行政による参入規制に守られてきたためである。しかし、モータリゼーション進展や少子化に加えて、JRの攻勢が民鉄グループ経営を悪化させており、さらに規制緩和によって採算路線での競争も激しくなることから、不採算路線を整理せざるを得なくなっているというのが現状である。

 ゆえに、今、路線バス事業が変化するニーズに対応し、さらに新たなニーズを創出するために必要なのは、「今までの概念にとらわれない新しい発想」と言える。そういう意味において、最近はやりの「コミュニティバス」という言葉も、自治体バスとイコールではなく、「新しい発想」に基づく路線バスを指す言葉として用いるべきである、というのが私の考えである。(そうなると、多くの自治体バスは「コミュニティバス」失格ということになるが・・。)
 新しい発想を導入したコミュニティバスが実現できたのは、自治体や地元住民という後ろ盾があってこそであるが、さすがに既存事業者も路線バスの低落に手をこまねいているばかりではなく、「新しい発想」のバス路線に関する検討や導入に取り組むようになってきた。むろん、このような試みは始まったばかりであり、何が成功し何が失敗するかは、やってみないと分からないという状況にある。したがって、このような試行錯誤によってノウハウを積み重ねていくことが、路線バス事業者の今後を決めると言っても差し支えないと考えている。バスの利点は、インフラ投資がほとんど必要ないために、失敗したらすぐにやめたり手直ししたりできることであり、今後の規制緩和はそれをさらに容易にする。大切なのは、失敗を恐れずよりよいバス路線の開発に取り組む姿勢である。

 このホームページでは従来、路線バスに関する情報の提供を目的とし、批評は軽はずみにも行わないというスタンスをとってきた。しかし、路線バスが激動の時代を迎える今、あえて私自身の評論を公開することで、今後のバス路線検討や、ひいては路線バス事業の発展に対して何がしかのを貢献ができればと考えるようになった。そこで、東海3県の路線バス、特に「新しい発想」にチャレンジする路線を取り上げ、分析と評価を試みようとするのがこのコーナーである。

 なお、路線バスの正当な評価はなかなか困難なものである。現地調査や実乗を行わなければ到底不可能であるが、一方で、しばしば利用している路線だと逆に見方が偏ってしまう恐れもある。最も注意すべきは、公共交通機関を検討する場合、マニア的な詳しさは必ずしも役に立たないばかりか、判断を誤らせる可能性さえある、ということである。私がここで行う評価も、以上の点に留意し、路線バスの経営・運行・利用という各側面になるべく配慮していくつもりではあるが、あくまでも限られた知見に基づくものであることをご了解いただきたい。

 内容に関するご指摘・ご意見・ご質問、また、取り上げてほしい路線に関するご要望など、ぜひこちらにお寄せいただければ幸いである。


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